曳家工事による沈下修正工事
現在の沈下修正工法はほぼ曳家工事から枝分かれしています。
それまでは建物が沈下したした際に建物を持ちあげる、または移動して基礎を作り直すことを行っていました。基礎をそのままで土台を上げる工法も曳家工事の一つです。耐圧板工法や鋼管杭圧入工法も以前はコンクリートピースを押しこんで摩擦で上げていました。
曳家工事に使用する機材がそのまま沈下修正工事の機材に利用できますので曳家業者は昔から沈下修正工事も施工していました。
立地条件により施工出来ない事や費用が高くなるため現在ではよほど基礎が痛んでいるか耐震化のため造り替える場合を除いて建物を動かすことは少なくなりました。
それでも基礎のない建物(古民家や蔵、神社、お寺)などは曳家工事の技術が必要です。薬液注入や鋼管杭工法や耐圧板工法では治せないものもたくさんあります。
写真は昔ながらの石基礎を建物を持ち上げてベタ基礎に作り変えています。
お寺・文化財(史跡)・石基礎の古民家などの修正
基礎のないお寺のお堂や鐘楼堂、蔵や古民家は柱を縛り持ち上げるしかありません。
史跡上にある建物は地盤を掘ることすら許されないため薬液注入工法も鋼管杭圧入も出来ません。柱を上げて根継ぎするしかありません。
蔵や古民家も石基礎が下がっているのに柱上げや根継ぎで建物を上げた場合、見た目が悪くなります。そのため一度浮かした状態で石工事で基礎を水平に戻します。
お寺の本堂、山門、鐘楼堂などほとんどの修正は曳家工事で行います。傾いた建物を移動または嵩上げした状態で石工事でレベルを合わせ、建物を据付ます。
この辺りのレベル修正は一般住宅の沈下修正業者では無理な工事です。
建物の嵩上げしてレベル修正
水害対策として嵩上げを行いレベル修正も出来る『バルクアップ工法』は一石二鳥
曳家工事は沈下修正工事と違い、好きな高さで建物を持ち上げて据え付けることが可能です。
昔と違いベタ基礎が主流になったため基礎ごと50cm持ち上げることも簡易に出来るようになりました。
床下浸水などの影響で沈下した場合、ハイウォーターライン以上に基礎を上げることで浸水などの影響はなくなります。水害対策工事で盛土を含め1.5m建物を上げた例もあります。
曳家工事を行う業者であれば沈下修正は当たり前で、それ以上の技術提供も行っています。