Q:​どの工法が良いか? A:物件条件によりけりです。

ご相談

 建物構造や沈下量、地盤の状態や周囲の状況など色々な条件から修正方法を検討します。

 最もお客様が気にされるのは費用です。完全な施行を望まれるのですが費用は高くなり、対費用効果からここまで!とラインを引かれる事が多いです。

 下記に主流となっている(一部はお勧めしませんが)沈下修正方法をまとめました。

​※他にもD-BOX、ウレタンなど修正方法も存じていますが実際に筆者が見た事が無い物は記述を省いています。

  一般的な

傾き修正

する方法

土台上げ工法

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 基礎の修正は行わず土台を持ち上げて建物の沈下を治します。左図のように基礎アンカー部分を斫る、又はアンカーを切るなどの作業になります。故にお勧めしない修正方法です。費用は抑えられますが基礎の沈下に対して地盤に何の対策を行っていません。そのため沈下が進行中であれば再度沈下の症状が出ます。

 昔ながらの建物で浴室やトイレが土台より下に納まっている場合、また玄関などは修正により大きな割れや傷みが生じます。玄関や水廻り部分で行うと思ったより補修費用がかかる事もあります。

 土台上げ工事を施行したあと再沈下が見られた場合、そこで基礎ごとの沈下修正を施工しても床のレベルが歪んで完全には戻りません。一度土台上げを選ばれるとその後の施行は土台上げしか出来なくなります。

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土台上げでもアンカーボルトを溶接して接続し直す、接続金具で伸ばすなどアンカーの重要性を理解して丁寧に施工される方もいらっしゃいます。そのような施工業者様であれば安心して任せても大丈夫です。

耐圧板工法

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 沈下範囲の基礎下端を掘削し、建物の重さを反力に耐圧板を沈めて土を締めていきます。一時的ですが建物を支持出来る状態になります。耐圧板はコンクリート平板、または鉄板を使用します。

 沈下範囲の適正な位置すべて反力だ出た後、油圧ジャッキを設置し建物を持ち上げます。ジャッキ位置、基礎下の空隙は流動性の良い充填材を流し込み建物を固定します。

 耐圧板工法では沈下した地盤に何も対応しておらず、表層のみを締め固めるだけで一時的な支持にしかなりません。そのため再沈下の可能性は多少残ります。

(地盤が問題なければ再沈下の可能性が低いため、施工前の地盤調査をオススメします)

 土台上げの次に費用が安く、基礎と土台の縁が切れないため補修費用が抑えられます。

 布基礎の場合、玄関や水廻り、タイルの浴室等は補修が必要です。

※地盤調査を行って地盤に十分な支持力があれば10年保証を出せる場合もあります。固い地盤であれば一番安価に修正できます。

 

※狭い場所で他の工法が施工できないなど耐圧板工法で行うしかない場所もあります。

鋼管杭圧入工法

アンダーピーニング工法

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最も高額な沈下修正方法ですが安心感があります。

 アンダーピーニングとも呼ばれています。

 地盤調査を確認して支持層の深さに応じた鋼管長さを決めます。 

基礎の下を掘削し、建物の重さを反力に鋼管杭(φ114~)を地盤に圧入します。1本圧入したあと専用ジョイントを取り付け次の鋼管を圧入します。

 鋼管杭先端が支持層に達すると支持層から反力を得ることが出来ますので、その反力で建物を持ち上げます。

​ 建物が軽いと摩擦で上がるケースも有りますが、支持層から建物を支持するため再沈下はほぼ有りません。

 鉄骨造やRC造など重量の有る建物や構造物に相性が良い工法です。

 一般住宅で布基礎の建物など圧入箇所が増える建物は高額になるため施工したくても費用対効果が合わない場合がほとんどです。

​ 薬液注入工法で10年保証を付けても鋼管杭圧入工事の半額近くに納まるため、工法選定から外されることが多いです。

薬液注入工法

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 地盤を改良して建物レベル修正も行います!

 沈下の原因となる軟弱地盤を薬液注入することで建物を支持できる地盤にします。セメント系の薬液がほとんどで5秒~、10秒~30秒でゲル化する薬液を使い分けます。

 地盤調査から注入深さを設定します。地盤にロッドを想定長さ刺して専用薬液を土中に圧入します。深い箇所から浅い部分へステップアップしながら建物下部の空隙や軟弱地盤に薬液が入ることで全体の支持力を高めます。

(砂・粘土・砕石では広がり方も変わります)

 

 地盤改良後にさらに注入を続けることで地盤を隆起させ沈下部分を基礎ごと持ち上げます。注入箇所を替えながら沈下部分を水平に戻します。

 ※地盤改良とレベル修正を同時に施工し、鋼管杭圧入工法より大幅に安価です。ダブルロック工法などメジャーな工法は10年保証対象工事となっています。

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 薬液注入によるレベル修正はベタ基礎と違い布基礎は受ける基礎底面が小さいため、微調整が難しくなります。その際に油圧ジャッキを併用してレベル修正を助けることで修正精度を高めます。

 また擁壁そばなど薬液注入により押す可能性があります。動いた擁壁はもとに戻せません。擁壁との距離が近い場合は油圧ジャッキを併用します。

 浄化槽、井戸は薬液注入で擁壁の次に破損や流入が怖く注意が必要です。その周囲には安全に油圧ジャッキを設ける場合が多いです。

その他の工法

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薬液注入工法で土間の修正も可能です。

 有筋の土間で厚さがあれば地中に薬液注入を行なって地盤改良と土間修正を行えます。土間下に空隙が見られるときは先に充填剤を流すなど下準備が必要です。

 ただし工場のプレス機など重量がある上に振動が繰り返される土間は修正しても再沈下します。また設計を超える重量が長期間置かれる場合も保証対象外となります。